2014年12月30日火曜日

リグをちょっとだけ紹介

今までの記事を見てこの、リグ(私が説明動画で使っているキャラクター)いったいどこから持ってきたんだろうと思う方も居るかもしれません。なので、リグをどこでゲットしたらいいのかという紹介。

まず、グーグルで

Free Maya Rig (mayaの場合ですが他のソフトの場合はソフト名)とか入れて検索するといっぱい出てきます、英語なのでわからないという事もあるかもしれないですが。


それから

Animation Buffet

↑のサイトではよく無料(時々無料じゃないのも入ってますが)のリグを紹介しているのでここから色々拾うのもいいかもしれないです。





その他練習用に使えそうだなーと思うリグをいくつか紹介します。


Ultimate Rigs

こちらのリグは基礎の練習に向いたリグが多数用意されています。ボールだったり、私が説明でも使ったペンデュラム(振り子)尻尾のついたボール。など等。アニメーションの基礎を学ぶのにぴったりなリグがいくつかおいてあります。それに加え、基本系の人間の形をしたリグもいくつか。人型系は私はあまり使ったことないのですが、まあ、使い勝手に関しては試してみるのがいちばんでしょう。



Norman
ノーマンリグはとても使いやすい人型のリグです。Academy of Art Universityというサンフランシスコにあるアートスクールが生徒のアニメーションの学習用に作ったリグだと聞いています。シンプルで服を着せたり髪型を変えたりしやすく扱いやすいリグです。人間系のボディメカニクスをやるにはぴったりです。アクティング系ももちろんできます。

Morpheus
モーフィウスリグはもうちょっとコントロールの多めの人型リグです。あまり技術的な事を知らなくても顔を変えたり、体の形を変えやすいのがとても良いです。
ただ、後述のヨーヘーさんのブログでも述べられてるとうり、体の線があんまりきれいじゃないのと、まぶたの仕様がちょっとアニメーションしづらいなと思います。

※上記のノーマンモーフィウスリグについては11セコンドクラブのページからダウンロード可能
(その他のリグはそこまで使い勝手が良いとは思えないのでそんなにお勧めしませんが、ダウンロードして触ってみるのも良いと思います!あと一番下のBishopというリグはアニメーションメンターというオンラインスクール専用リグですので、生徒以外は使うことができません。)

Malcolm
上級者向け。AnimSchoolというオンラインアニメーションスクールが提供しているリグです。このスクールが提供しているリグは沢山ありますが、すべてがスクールの授業を取っている生徒用なのですが、マルコムに関しては誰でも商用利用しない限り利用可能です。AnimShcoolのサイトに行ってメールアドレスを登録しないといけませんが、リグのコントロール(特にフェイシャル周り)が充実しているので上級者にはお勧めです。難点といえばマルコムはマルコムにしか見えないというか、キャラクターが長身のほっそりとしたキャラでしかないので、モーフィウスのように簡単にカスタマイズできないという点が難点でしょうか。それから手がめちゃでかいので私はいつもちょっと手を小さめにして使っています。


Mery Rig
上級者向け。顔周りはなかなかよさそうです、まだ、ボディ全体を使うアニメーションは私はつけていないので分からないんですが。なにしろ、リグ自体にとてもアピールがあるので、いいんじゃないかと思います。見た目が魅力的なリグというのは、デモリールに入れるときに結構重要なので。だれか、ボディの方良いよ悪いよ、って言うのあったら教えてください。

(最初に更新したとき、デモのアニメーションがそこまで良い感じじゃないので良いリグなのかなあ?と思うかもといったけど、それは別のリグだった、メリーのデモじゃなかった。ちなみにそれはマチルダというこちらのリグ→Mathilda 見た目がちょっとリアルよりの女性リグだから面白そう!使ってみたいけどまだ使ってみてません!)


Bonnie Rig
上級者向け。ボニーちゃんはとっても顔が使いやすくていいと思います、でも、かなりケツデカイし、プロポーションも特殊なので使える状況も限られてくると思います、私が感じた難点としては、手がとっても使いにくいと感じました。でも、女性キャラとしてはとても、魅力的なので、ショットによってはかなり使えるんじゃないかと思います。



リグに関しては何度も出てきているYohei Koikeさんのブログで使い方や、頭の付け替え、服の着せ方などなど詳しく紹介されていますのでこちらもチェックすると参考になるかと思います。

ANITOON Japan 人型タイプのリグ紹介

ちなみにYoheiさんのブログで右側のラベルタグでRIGを選べばリグについての記事を見ることができます。(というかヨーヘイさんのブログは為になるので全部読めばいいと思います!笑)

私も後々リグ個々についての使いやすさについての記事なんかも書こうかなともおもいますが、また時間のあるときに。

なんでこういうリグを使って自分でモデルしたものを使わないかというと。
まずモデリングとかリギングとかはもう別の教科なんですね。
なので、アニメーションを学びたかったらアニメーションだけやるのです。でも3Dでそれをするにはモデルとかリグが必要。そこでオンラインコミュニティーではアニメーションを学ぶ学生等が教育目的またはデモリール用の作品作りに使えるように、こういった練習用のリグを提供しているわけです。
なのでこれらのリグはほぼすべて商用目的ができない、練習用に限って使えるものとなっています。

じゃあモデリングとかは学ばなくていいの?と思うかもしれないですが、それは人次第、興味次第です。


ちなみに、私はアニメーション以外ほぼできません。アメリカですとアニメーターに求められるスキルはアニメーションができるというスキルですので。私は実はRiggingもLightingもModelingもEffect等など、超初心者です。こういう人ですとスペシャリストと呼ばれ、何か一つのスキルに特出してる人になります。逆にジェネラリストというのは、色々なスキルをくまなくカバーしている人になります。どっちがいいかというのは会社によると思いますが。アメリカだと大手になるほどスペシャリスト、中小だとジェネラリストというのが多い印象を受けます。

(アニメーションがやりたいのでわざとモデリングが超上手いのを隠している人とかも時々います、じゃないとモデリングをやらされるので笑)


と、リグの話から長くなりましたが。そういうことで、こういうリグを使ってアニメーションが学べますよー。という話でした!

2014年12月28日日曜日

Slow in & Slow Out (スローインとスローアウト)

それでは、

Slow In(スローイン)と Slow Out(スローアウト)についてです。

イーズイン、イーズアウトとも言われたりします。
日本のアニメ業界ではたぶん タメツメと呼ばれているものではないでしょうか!

取り合えず。

スローイン(イーズイン)=だんだん遅くなる
スローアウト(イーズアウト)=だんだん早くなる

と思っておけばいいと思います!

スペーシングという用語を使って説明するなら

スローイン=だんだんとスペーシングが狭くなる
スローアウト=だんだんとスペーシングが広くなる

ということです。

何かが加速しだすときはだんだんと早くなったり、また止まるときにはだんだんと遅くなるといった物理的な動きの基礎ですね。

たとえば振り子の動きで全くスローイン、スローアウトをしていないと


こういう動きになります。英語だとEven(均等)な動きとよく言いますがそう、均等な動きで機械的ですね。

これに両端にスローイン、アウトをつけるともうちょっと振り子らしい動きになります




端っこで遅くなって真ん中は加速して早くなっています。

ではもう少しこんな動きをする振り子はないと思いますがスローインスローアウトの見本ということで見ていきましょう。

次の動画はスローインのみですね、早いところからだんだんと遅くなって停止します



次の動画はスローアウトのみです。さっきと逆で遅いところからだんだんと早くなります。




じゃあもう1パターン。早く始まって真ん中で遅くなりまた加速するというパターン。



↑変な動きですね、振り子としては。
でも、実際にこういうトップでスローインスローアウトするパターンもあります。何回かお話しているバウンシングボールとか上に何か物を投げてまた落ちてくる動きなどがそうですね。
(↓画像クリックで動画へ)


↑このように、頂点に上っていくにつれてスローインし、またスローアウトしながら落ちてきます。今見るとちょっとEven気味なスペーシングですね。もっと誇張してもいいかもしれないですが。でも、少しずつフレームとフレームの間のスペーシングが狭くなっているのがわかると思います。


というわけで、スローイン、スローアウトの概念でした。こうして動きにスローアウトスローインを入れることによってより現実に近い動きやもっとダイナミックな動きを作ることができるのです。



Arc(アーク)

それではアーク(運動曲線)
についての記事です。

アークって何か!そのまま曲線のことです。何かが動くときって曲線を描いていることが多いんですね。




参考に弾むボールを見てみましょう。

ボールの行く末を線にして追っていくと綺麗な曲線になっています。




他にも振り子とか



上記はMAYA内の3Dアニメーションですが。現実にも、動いてるものは綺麗な曲線を描くことが多いのです。


もちろん直線的な動きをするという物体もあるでしょうが注意をしてみると、ほとんどの生き物や、無機物でさえ「動く」時は曲線を描いているのです。

ただ、3Dアニメーションはアニメーターが動きをつけてるわけなので、容易に現実とかけ離れた動きにする事もできてしまいます。(不本意でそうなっちゃう事も。)そうなると、動きが不自然になったりしてしまいへんてこなアニメーションになっちゃいます。なのでアニメーターが意図して綺麗なアークを作るようにしなければいけないのです。




3Dアニメーションで言うと、きちっとしたアークが作れていなくてキャラクターの動きが不自然にカクカクしちゃったりすることが多いです。


綺麗じゃないアークっていうのは、たとえばこういう感じです。

あっちからこっちに振り向くみたいなアニメーションをやってて。なんかカクカクしてて変だわ、とおもったら鼻の先っちょのアークを追ってみましょう。




キャラクターの鼻の頭に赤い点をつけて運動曲線を追ってみましたけど、カクカクっとなっていて、きれいな弧を描いてないですよね。

より綺麗なアークだとこういう感じになります。




↑こちらの動画はアークの説明だけに作ったので、頭しか動いていませんが。全身のコントロールを動かすようになると、グラフエディターでは普通に見えるのに何故ここでカクカクっとなるんだあ!って言う事も出てくるかと思います。そういう時は大体リグのRoot(大本のコントロール(人間系だと腰が重要))からチェックしていくと良いかと思います。まあ、どうしてもダメだったら1フレームずつ、アークをチェックして直していくっというのも、ありです。



というわけで今日はアークの話でした。





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2014年12月15日月曜日

Illusion of Life

度々話している
ディズニーアニメーションの分厚い本
「命を吹き込む魔法」

の原題ですが。

Illusion of Life(イリュージョン オブ ライフ)

と言います。

イリュージョンは錯覚とか幻想といった意味なので

命の幻想、

つまり存在していないもの、ないものを、動きを使って、命ある、考えをもったキャラクターがそこにいる錯覚を観客に与えるのがアニメーションなんですね。

Animationの動詞であるanimate ですが、命を吹き込むという意味がそれ自体にあります。


何もないところから、生きているキャラクターを生み出す。それがアニメーションの醍醐味ですね。


アラジンのジーニーをアニメートしたりなんかで有名なアニメーターのエリックゴールドバーグの言ってた言葉でよく覚えているのがあります。

「自分がアニメートしているキャラクターが存在すると信じなさい、アニメートしているあなたが信じることの出来ないキャラクターを、観客が信じることが出来るとおもうか?」


ていうような言葉でした。

まさにそのとうりですね。


というわけで。電車から、プチ更新です。

Timing & Spacing (タイミングとスペーシング)

順番にやっていくわけではないので飛んで9個目の原則「タイミング」についてです。

前に教えてくれたピクサーのアニメーターの方は一番大事だぜこれ!といってましたが。
確かにこれ、他のと比べてもだいぶ大事度の高いものです。

12原則の書かれてる「命を吹き込む魔法」では。タイミングとして紹介されているのですが。この概念にはスペーシングも含まれると思います。

タイミングとスペーシングどちらも大事で、ここの違いがわからなくなる人も多いし(私も最初よく分かっていなかった)違いをきっちりわかっていたほうがいいので一緒に紹介します。

ということで。

Timing and Spacing (読みは タイミング、 スペィスィンという感じ)


言葉で定義しようとすると

Timing=何かの動き(または静止)にどれだけの時間を要するか。

Spacing=一定時間内においての動いている物体のフレームごとの配置

でしょうか。

説明動画でも作ろうかな。と思ったのですが。

TEDに良い動画があったので、これでも見ると良いと思います。笑
(英語ですがYouTubeの設定から日本語字幕で見れます。)






つまり、
AからBに行きたいとして。
AB間にどれくらいの時間がかかるのか、というのが、タイミング。
AB間の中の各フレームでどういう割り振り方をするかというのが、スペーシング。ていうか言葉の通りフレームごとにどれくらいのスペースがあるか?

ではちょっと動画を

↓違うタイミング(A地点からB地点に行くまでに、かかる時間が違う。)




↓同じタイミングで違うスペーシング(A地点からB地点に行くまでにかかる時間は一緒だけれど、その間の中割りがちがう。)

 



というわけですね。

それで、何でそんなにタイミングが大事なのかというと。

「タイミングによって動きに意味を持たせることができる。」
ピクサーアニメーターのMike Makarewiczさんのクラスを取ったときに言っていたことです。
本当にそのとうりで、タイミングを操ることで

物体の重量や質感といった物理的なものから

キャラクターの考えていること、感情といった、内面的なものまで

表現できます。

たとえばこないだの使いまわしで申し訳ないんですけど。
Anticipationの説明で使ったこの動画なんですが。



これだと
「は!何かしら!」みたいなまあ、こういう雰囲気というか。そういう感じですよね。





で、これをそのまま、ポーズは一切いじらないでタイミングだけ変えても。


だいぶ違った雰囲気になりますよね。

だから、どっちのタイミングがいいか!というのは、

そのショットで求められている感情、場面、状況によってちがいます。
アニメートしている物体が何でできているかとかにも寄ります。
(ピンポンだまなのか、ボーリングのボールなのか、というような)

早すぎてもいけませんし、遅すぎてもいけません。その状況と求められているものに合ったタイミングを探していくのが重要だと思います。


Yohei Koikeさんのブログにもとても役立つスペースィングの解説動画が載っているのでこちらもチェックしてみてください!
ANITOON Japan 第四回 スペースィングの意味!



それから、Mox-Motionさんのサイトにアニメーションフィジックスの日本語版が載っているのですが。これにもタイミングとスペーシングのことが書いてあるので参考にすると良いと思います!

http://mox-motion.com/animation-physics/


ちなみにこのアニメーションフィジックスの元の英語版の第一人者は私の母校の物理の先生なのです。


彼は時々ドリームワークスで物理についてのアドバイザーなんかをやったりしているので、物理を理解するのも大事というのがわかりますね。



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2014年12月10日水曜日

アニメーションのざっくりとしたカリキュラム

動画を交えて説明したいトピックもたくさんあるのですが、そうじゃ無いのは朝の通勤時間に更新することにしました笑。只今電車です。(暇があれば後から動画を追加するかも)

アニメーションを学ぶうえで一体どう言うプロセスで学ぶのか(アメリカの場合)。

ざっくりとこう言う感じだとおもいます


1.基礎

アニメーションの12原則のような基礎をしっかり頭に入れる。覚える。出来るようになる。

練習によく使われるものの例
ーバウンシングボール(弾むボール)
ー質感の違う物の落ちる様子(参考までに私の学校では、葉っぱ、レンガ、ボール、フラワーサック(小麦粉の入った袋)をやりました。)
ーペンデュラム
ーボールに尻尾が付いた物で、ストーリー性のある物を作る

2. ボディ メカニクス (Body Mechanics)

人間の体がどう動くかを理解する段階です。プラスアルファで動物とかもありますが、これは別で教えることが多いと思います。この段階だと使われるリグも顔が無かったり顔がシンプルな物も多いです。と言うのも表情とかに集中する前に体がどう動くかと言うのをしっかり学んで欲しいからです。

練習によく使われるものの例
ーウォークサイクル、ランサイクルなどの歩いたり走ったりのサイクル。
ー物を持ち上げる
ー物を押す、引く
ージャンプ
ーセリフなしのパントマイムショット
ーアクション系の動き
ーとにかく体全体を使った動き。

3. アクティング(演技)

演技の練習ですね。キャラクターが何を考え、どうしてそういう動きをそこでするのか、といったことを学びます。リップシンクとかも学びます。瞬き、眉毛の動きとかもそれだけで2ー3記事かけちゃうくらいです。これは本当難しいやつです。これをやれば正解というのがないんです、演技なので。世界の一流俳優女優クオリティの演技、それをアニメーターの手で作り上げられるようにならないといけません。なので、基礎や体の動きをしっかり叩き込んでからこう言うのに移ります。

練習によく使われるものの例
ー映画などからセリフを選んでそれにアニメーションをつける(アニメ映画からは選ばず実写のものを使う)




とまあこういう感じでしょうか?

なのでアニメーションを始めたばかりでいきなりアクティングショット!とかはやらずに、バウンシングボール、ウォークサイクルというように準々に学んで行くのがいいと思います。

かくいう私もそういうのわかってなかったんで、だいぶ前のめって技術無いのに高度な事をしようとして、プロの方に見せて。バウンシングボールからやろうね!と言われたことがあります。

基礎、たいせつです。






2014年11月30日日曜日

Anticipation(アンティスィペイション)

ではアニメーションの原則二つ目

アンティスィペイションについてです。
Anticipationを略して Antic(アンティック)なんていったりもします。


日本語訳は予備動作となっていますが、どういうものかというと、何かメインの動作が始まる前に次になんか来るな。ていうのを観客に予想させるモーションのことを言います。


せーの、それ!だったら、「せーの」の部分がアンティスィペイションです。

野球のバッターがスイングするんだったら、振る前に後ろにバットをグイーーッと引くモーションあれがアンティスィペイションです。


アンティスィペイションがあることで、「お、もうすぐバッターがスイングするぞ」と観客は理解できます。

見ている人に次は何か来るぞという一呼吸の心の準備をあげる部分ともいえます。

うーん、やっぱり、言葉で説明するのが難しい、ので動画で説明します。

こちらの動画はアニメーションのエクササイズでは良くやるジャンプのアニメーションですが。
(アンティスィペイションの説明の為に作った動画なので細かいところは雑なのは許してー。)




このジャンプで言ったら、このしゃがんだポーズがアンティスィペイションになります。
次ジャンプするよーというのの前置きみたいなポーズですね。

他にも例を挙げると。



 このAのポーズからBに行きたいとします。

アンティスィペイションなしでそのままだと。単純にAからBに移行するだけだと


こういう感じになります。
AからBに行く前にお、これからBに行くんだな。という動作無しにBに入るパターンですね。

これでアンティスィペイションを入れてみると。




こういう感じの動作になります。



AからBに移る間に今から移りますよー、みたいな、一呼吸のポーズが入ってます。
これだけでだいぶ違います。

で、じゃあ、すべてアンティスィペイションがいるのかというと、そうでもないところがアニメーションの難しいところで、アンティスィペイション無しにいきなりガン!っときたりして、観客がびっくりするようなものが求められてるときにはアンティスィペイションはいらないですし。アンティスィペイションないほうがスムーズに事が運ぶようなショットとかも、あると思います。このAとBの例でも、アンティスィペーションなしバージョンもポーズとポーズの間のタイミングやら、ショットの内容によっては正しいこともあるので、これも、やっぱり、アニメーターは自分の判断力を使ってどうするか決めます。


ですが、大体の動作にはアンティスィペイションがあるので、注意して人の動きなんかを見てみるのが一番ですね、やっぱりアニメーターは分析力!

じゃあ、最後に皆大好き、アナと雪の女王のレットイットゴーのシークエンスから例を見てみましょう。


うーん、超よいアニメーションですね。惚れ惚れしちゃいます。

で肝心のアンティスィペイションですが

エルサが雪の魔法をブワッっとやるところ三つくらい見てみましょう(以外にも随所にアンティスィペイションの例はありますが)







と、気をつけて見始めたらアンティスィペイションだらけだと思います。


ということで二つ目の大事なアニメーション要素、アンティスィペイションのお話でした。

Yohei Koikeさんのアニメーションブログでもアンティスィペイションの例が紹介されていますのでこちらも為になります!
ANITOON Japan  第六回 アンティスィペイションの力




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2014年11月29日土曜日

Squash and Stretch(スクオッシュとストレッチ)

では手始めに

スクオッシュ(潰し) と ストレッチ(伸ばし)

についてから書こうかな。

でも、言葉で説明するのがへたくそなので動画で見てもらったほうが早いと思うのです。

どちらもボールがぴょンぴょンはねている動画ですが。

一つ目はスクオッシュとストレッチなし、

二つ目はスクオッシュとストレッチが入っています。



「スクオッシュストレッチなし」



「スクオッシュストレッチあり」



二つ目の方が堅さがないというか、ボールの感じが変わりますよね。




この画像のように、元のサイズよりも、伸びてるのがストレッチ、つぶれてるのがスクオッシュ。
こういうフレームをいれることで、ボールが地面にぶつかったときのインパクトだったり、早さだったりを表現することができます。自分がアニメートしている物体の質感や、重量をコントロールできます。

たとえば、堅いボールだったらストレッチもスクオッシュも全く無く最初の動画のようなかんじになるでしょうし、もっと、やわらかいゴムでできたようなボールだったら二番目の動画みたいにもっとスクオッシュとストレッチが激しい感じになるでしょう。


こういうスクオッシュとストレッチを随所に使うことで、動きにやわらかさとか躍動感が生まれます。


ちなみにボールで表現してみましたが、別にボールだけとは限りません、顔のパーツ全体でストレッチやスクオッシュをいれることもあります。

こんな感じに


普通の表情

スクオッシュされた表情

ストレッチされた表情



ただ単に顔のサイズを伸ばすとかではなく眉毛や目や表情としてストレッチスクオッシュすることがみそです。


あとは体全体を使ってストレッチスクオッシュする事もできますし。ちょっとこのポーズはやっつけになっちゃった感じですが、こういう感じで、ポーズがスクオッシュやストレッチされてる状態というのもできるし。

「スクオッシュポーズーデフォルトポーズーストレッチポーズ」


スクオッシュとストレッチはいたるところで使われます。


グーグル検索で squash and stretchと画像検索をかけると、結構あーこういう感じか。というのがわかると思います。


これはアニメートしていく上でいっつも使うテクニックですのでさすがリストの一番上に来るだけあって大事なことです。リストにあるのは全部大事ですがね。

ちなみに、アニメーションで大切なのは「バランス」だと思います。スクオッシュストレッチをどれくらい入れるかというのは、アニメートしている物体、作品のスタイル、シチュエーションで大きく変わりますので、沢山ストレッチして沢山スクオッシュすればよく見えるというわけでもありません、いい塩梅でスクオッシュとストレッチを的確に取り入れることが大事だと私は思うのです。

Malcolm character courtesy of AnimSchool.com


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アニメーションの原則-Principles of Animation-

ブログの初投稿です。実際アメリカでアニメーションを学ぶと絶対にやる基礎中の基礎なので、これについてブログに書く意味あるかなあと思ったのですが、グーグル検索してみても日本語ではそんなにヒットしなかったので、書いちゃうことにしました。

まあ基礎中の基礎なので初投稿にはちょうどいいでしょう、しかし、12も項目があるので、すこしづつアップしていこうと思います。


アニメーションの12の原則

英語では

12 Principles of Animation(プリンスィプルズ オブ アニメーション)といいます。


9 old men(ナインオールドメン) とよばれるディズニーの伝説のアニメーターとされる9人のうちの2人である、フランクトーマスとオーリージョンストンによって書かれた


ディズニーアニメーション 生命を吹き込む魔法 ― The Illusion of Life ― という本に登場するアニメーションの基礎です。



この本自体がディズニーアニメーターが長年かけて蓄積してきた知識や技術の塊でもあるので、アメリカでアニメーションを学ぼうとすると、必ず買わされる、というかまずアニメーターなら皆持ってる、アニメーターのバイブルレベルの本です。

私の学校ではアニメーションの最初の授業でこの本と

アニメーターズサバイバルキット という二つは教科書として指定されていました。(両方とも皆持ってるレベルの本です。)

この二つの本や、こういう原則は2Dアニメーション時代に築かれたものでして、3Dアニメーターである私に何かメリットがあるのか?と思うかもしれませんが。アメリカの3Dアニメーションの技術や知識はすべてまるっと、2Dアニメーションの技術に基づいています。もちろん、細かいところを突っ込んでいくと違いはありますし、違うスキルが要求されますが、一番大事な部分において学ぶことは大体一緒なのです。(紙かパソコンのソフトかという違いで大事なことはほぼこの12原則に集約されています。)


でも、私も3Dアニメーターですので、3Dアニメーションにおいてこれっていったいどういうことなの?という視点で書いていこうかなーと思います。

(日本語訳は命を吹き込む魔法に書かれているものにのっとって表記してます。)

それではこちらが12の基礎になります。順を追ってすこしづつ更新していきますね。更新したら下からリンク先に飛べるようにしておきます。

1. Squash and Stretch(潰しと伸ばし)

2. Anticipation(予備動作)

3. Staging(演出)

4. Straight Ahead and Pose to Pose(逐次描きと原画による設計)

5. Follow Through and Overlapping Action(あと追いの工夫)

6. Slow In and Slow Out(両端つめ)

7. Arc(運動曲線)

8. Secondary Action(副次アクション)

9. Timing(タイミング)

10. Exaggeration(誇張)

11. Solid Drawing(実質感のある絵)

12. Appeal(訴える力)

上記の説明で使った動画(いるか要らないかは別として笑。)をグーグルドライブに上げてあるので欲しい人はどうぞ!

Principles of animationというフォルダにアップロードしてあります。↓

アニメーションおばけフォルダー


ちなみに、ビジュアルで理解できる素的な動画があったのでこれを見るとなんとなくこういうことか、というのが、わかるかと思います。




The illusion of life from cento lodigiani on Vimeo.